日本や海外で活躍する女性起業家・経営者10人!成功例や起業に向いている女性の特徴とは?

開業・起業したい女性必見!女性起業家の成功例から学ぼう 「起業」と聞くと「男性がやる仕事」とイメージをする方もいるかもしれません。日本は、ほかの国と比べるとまだまだ男性社会の色が強い国です。しかし、起業をして成功を収めた女性は多くいます。 そこで、今回は日本における女性起業家の現状や起業に向いている女性の特徴を解説していきます。また、日本のみならず海外でも活躍している日本の女性起業家も紹介していきますので、起業を目指している、どのような起業家がいるのか知りたい方は参考にしてください。 また、「創業手帳woman」では、女性起業家インタビューだけでなく、女性起業家向けの補助金・助成金なども掲載しています。無料でのご提供ですので、ぜひお気軽にご利用ください。 女性起業家の現状 まずは、日本における女性起業家の現状について解説していきます。 女性起業家は増加している 日本は海外と比較するとまだまだ女性起業家の数は少ない傾向ですが、年々増加しています。東京商工リサーチによる第12回「全国女性社長調査」によると、2023年の女性社長は全国に61万2,224人いることがわかりました。調査をスタートした2010年では女性起業家が21万2,153人だったため、13年の間に約3倍も増えたことがわかります。 また、女性起業家を都道府県別に見てみると、大都市を中心に多くいることがわかります。最も少なかった県は、島根県で2,158人です。 女性起業家が増えた理由としては、インターネットの普及が考えられます。 例えば、アパレル業界となると店舗を構える必要があると考える方もいるでしょう。しかし、近年ではネットショップが普及しパソコン上で取引きが行えることから、趣味や好きなものを取り扱う分野で起業する女性が増えてきています。インターネットがあれば女性でも気軽に事業をはじめられるため、女性の起業家進出を後押ししたと推測されます。 産業別ではサービス業での起業が多い 次に、女性起業家の数を産業別に見ていきます。 産業 女性社長数 構成比 サービス業他 30万840人 49.14% 不動産業…

「泳げない者は沈めばいい」 ユニクロ柳井正と古参幹部の別れ

「泳げない者は沈めばいい」  「岩村君。俺はもう辞めようと思うちょるんや」  ちょうど柳井が信頼するクリエイターのジョン・ジェイが「新しいユニクロ」を伝えるCMの作成に取り組んでいるただ中の1999年8月のことだ。ユニクロにとって最古参となる浦利治が、やはり古くから柳井を支えてきた岩村清美にこう打ち明けた。  浦は柳井がまだ小学生だった頃から住み込みでメンズショップ小郡商事で働き始め、柳井が店を継ぐようになると、たった2人で出発した。柳井にとっては社員というより兄弟のような存在で、全幅の信頼を置いてきた人物だ。その浦のことを「一番尊敬する人」と言うのが、やはり銀天街の紳士服店に飛び込み浦のしぐさを盗むようにして仕事を覚えてきた岩村だった。  尊敬する先輩からの唐突な告白だったが、岩村は意外に思うことはなかったという。岩村も時を同じくして浦と同じ考えに至っていたからだ。引き際を考えたきっかけは毎週、柳井が社員に配る業務連絡の紙だった。そこに記されていた言葉に、思わず見入った。  「泳げない者は沈めばいい」  貪欲に成長を求め続けていたこの時期に、柳井が好んで使っていた言葉だった。実は柳井のオリジナルではなく、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツがよく口にすることだと本を通じて知っていた。  ゲイツはインターネットという破壊的なイノベーションを社会に起きる「津波」だと言い、そこで生き残るにはどうすればいいのかを説いた。それが「Sink or Swim」。溺れたくなければ泳げという意味だが、慣用句的に「いちかばちか」や「のるかそるか」と訳されることが多い。  ユニクロもまた大変革期を迎え、服の民主主義という概念を世に問う新しい企業に生まれ変わろうとしている。その波を泳ぎきるために社員も成長してほしいという意味を込めたメッセージだった。 受け入れられない新参者  ただ、岩村はその言葉から目を背けられなかった。私はその言葉を目にした時の心境を、ストレートに聞いた。岩村からはこう返ってきた。  「それを読んで思いました。『自分はもう戦力じゃないんだ。いらないんだ』と。自分はもう沈まないといけん。死なないといけん。溺れかけている人間なんだと、そう思ったんです」  会社を、柳井を、ユニクロを、ここまで支え続けてきた男の悲痛な思いが詰まった言葉だった。  「そう思っていた時に浦さんから辞めると聞かされた。それで、俺も辞めんといけんなと思いました」  浦にとっては意外だったようだ。  「いやいや、ガンちゃんは残らないけんよ。まだまだやることがあるから」  岩村はこの当時、47歳だ。まだまだ働き盛りのまっただ中である。だが、浦が退職を思いとどまるように諭しても、岩村は首を縦に振らない。  岩村には思うところがあった。伊藤忠商事から転じてきた澤田貴司たち新しい人材が自分たちにはない才能を持っていることは認める。だが、どうにも受け入れられない。…

なぜユニクロ柳井正は9回失敗しても10回挑戦したのか…「頭が良いと言われる人間」の最大で最悪の欠点

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長の執務室には、「店は客のためにあり 店員とともに栄える」という言葉が掲げられている。これは経営指導者・倉本長治の格言だが、この言葉には続きがある。『店は客のためにあり 店員とともに栄え 店主とともに滅びる 倉本長治の商人学』(プレジデント社)の著者で、『商業界』元編集長の笹井清範さんが解説する――。 ※本稿は、笹井清範『店は客のためにあり 店員とともに栄え 店主とともに滅びる 倉本長治の商人学』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。 縦割りの組織構造を変えていく 2017年3月16日、ファーストリテイリングは2月から稼働した有明の新社屋Uniqlo City Tokyoで「有明プロジェクト」の取り組みを発表した。柳井正代表取締役会長兼CEOは、自社の事業をこれまでの製造小売業から「情報製造小売業(=Digital Consumer Retail Company)に変える」と宣言。従業員の働き方から産業構造まで、全社的にあらゆる改革を進めていくことを明言した。 具体的には「服を作る人と着る人の境をなくす」「一人ひとりに寄り添う」「次の世代に繋がるサステナブルな社会を作る」という3点の実現を目指す。これまでは全世界で10万人超の従業員が縦割りの構造で働いていたが、部門ごとにワンチームで連動し、かつダイレクトに世界中とつながっていく働き方に変えていく。 商品製造面では、作ったものを売るという従来のやり方から、情報プラットフォームをベースにAIなどテクノロジーを活用し、顧客の要望をリアルタイムに近い形で商品化に反映するなどサプライチェーンのスピード化を図る。それまで掲げてきた「Made For All」というコンセプトを、一人ひとりにジャストフィットする「Made For You」に変えるなど、事業のあらゆる面で「革命を起こす」と柳井会長はいう。…

パリコレ開幕 見所はディレクター交代によるマックイーン、クロエ、ラコステの新作ショー

ウィメンズのパリ・ファッションウィーク(通称パリコレ)が、2月26日に開幕した。初日は、初めて公式ショースケジュール入りした高橋悠介のブランド「シーエフシーエル(CFCL)」が、2024-25年秋冬シーズンに向けたVOL.8コレクションのランウェイショーを開催した。  2024-2025年秋冬のパリ・ファッションウィークは、2月26日から3月5日までの9日間にわたり開催される。公式スケジュールでショーが70ブランド、プレゼンテーションが36ブランド、計106ブランドが参加。 公式ショースケジュールで ブランド、公式プレゼンテーションスケジュールで ブランドが参加。期間中は、展示会や各種イベント、パーティーなども連日開催され、パリ市内の各地で盛り上がりを見せる。  今シーズンの注目は、クリエイティブディレクターの交代による新たなコレクション。「マックイーン(McQueen)」はショーン・マクギアー(Seán McGirr)、「クロエ(Chloé)」はシェミナ・カマリ(Chemena Kamali)、「ラコステ(LACOSTE)」はペラギア・コロトロス(Pelagia Kolotouros)が、それぞれ新クリエイティブディレクターに就任してから初のランウェイショーを開催し、デビューコレクションを発表する。また、アレッサンドロ・ビジランテ(Alessandro Vigilante)がクリエイティブディレクターに就任した「ロシャス(ROCHAS)」は、デビューコレクションのプレゼンテーションを開催する。 また、「オフ-ホワイト™(OFF-WHITE™)」、「ヴェトモン(VETEMENTS)」、「マリーン・セル(MARINE SERRE)」が、それぞれパリの公式スケジュールに戻り、ランウェイショーの開催を予定している。  CFCLは、2月26日夜にパレ・ド・トーキョーでランウェイショーを開催。「Cadence(韻律)」をテーマに、素材や手法でニットウェアの多様性を広げ、抑揚のある現代生活に向けたメンズ・ウィメンズの新作コレクションを発表した。

黒いスーツを着た日本のビジネスマンたちはどこへ行ったのでしょうか?

長くて暑い東京の夏も終わりを迎え、街中のサラリーマンたちは恐怖の表情で自分たちのワードローブを見つめていた。毎年5月から9月にかけて、保守的で有名な日本の会社員や公務員は、堅いダークスーツを脱ぎ捨て、よりカジュアルな服装をするようになります。ネクタイやでんぷん仕上げのシャツはやめましょう。半袖のポロシャツやリネンのシャツ、時にはハワイアンも登場します。その後、暦が 10 月に近づくと、気温が劇的に下がるわけではないにしても、再びフォーマルな雰囲気が戻ってきます。 この変身は、クールビズとして知られる日本の取り組みの一部であり、ガラス張りの半分が完全に「ホットオフィス」と呼ばれるものの説明です。 5月1日から、職場ではエネルギーを節約するためにサーモスタットを摂氏28度、または華氏82度以上に設定するようになった。これは湿気の多い東京では汗ばむほどの命題だ。 快適ではないかもしれないが、日本のオフィスは、記録的な熱波や異常気象の原因となっている温室効果ガスの排出量を世界各国がどのように削減できるかについてのモデルを提供している。気象庁によると、今年の8月は日本で観測史上最も暑い日となり、東京では9月後半になっても毎日の最高気温が摂氏32度(華氏90度)を超えた。 クールビズは、エネルギー需要のほぼ 90% を燃料輸入に依存している資源に乏しい日本における、シンプルで費用対効果の高いエネルギー節約の取り組みの 1 つです。ロンドンに本拠を置くエネルギー協会の統計によると、この措置により日本の一人当たりエネルギー消費量は米国の約半分に抑えられたという。 日本の労働者とは異なり、アメリカ人は熱による不快感という考えに敵意を抱いてきた。 1970年代のオイルショックの際、ジミー・カーター大統領は国民にサーモスタットの温度を下げて厚着をするよう大胆にも呼びかけ、国民的なサンドバッグとなった。夏でも、アメリカの多くのオフィスは依然として極寒に保たれており、従業員は暖房器具やセーターに頼っています。 日本ではクールビズが特に女性の間で人気となり、女性は薄着になる傾向があり、男性同僚がビジネススーツを快適に着るためには気温が低いと不満を漏らすことが多かった。日本のオフィスでは、意思決定の役割において女性の割合が依然として大幅に低い。 環境省の調査によると、現在、86%以上の職場がクールビズプログラムに参加しています。同省のゼロカーボンライフスタイル推進室の室長、井上裕介氏は、このプログラムの成功は、いかなる規則制定や金銭的インセンティブもなく達成されたと述べた。 その代わり、政府は政治家やビジネスリーダーに対し、ジャケットとネクタイを脱ぐことを奨励し、すぐに広まった行動をモデル化した。人々が薄着になるにつれ、サーモスタットの設定をそれほど低くする必要がなくなったと井上氏は語った。 運送会社に勤める村瀬達也さん(29)は、顧客は服装の息苦しさの軽減を期待するようになっていると語った。 「今、顧客を訪問すると、皆さんジャケットを着ないスタイルについて非常に柔軟で寛大なようです」と、青と白のチェックのボタンダウンシャツを着た村瀬氏は、東京近郊で同僚2人を見送りながら語った。水曜日の駅。 地元銀行の副支店長ケイタ・ジャナハさん(34)は、男性同僚の中にはオフィスが暑すぎると感じる人もいたが、屋外のサウナのような環境から入ってくる顧客にとっては許容範囲内だと語った。 クールビズのルーツは…

「全盛期はまだこれから」 大坂なおみが企業に愛される理由

大坂なおみ 女性アスリートとしての最高年収、その額まさに6000万ドル。男女を通しても12位につけたのは、女性の史上最高位である。彼女を支持するスポンサーは実に20社。社会問題にも発言を繰り返す型破りなアスリートは、なぜかくも企業を引きつけるのか。 全米オープンでセリーナ・ウィリアムズを下し、劇的な優勝を飾って世界のひのき舞台に躍り出てから3年がたつ。23歳になった大坂なおみは、自分以外の誰のルールにも従うつもりがないことを、すでに身をもって示している。 今年の5月末、大坂は自身のメンタルヘルスを守るために、全仏オープンで出席が義務付けられているメディア会見を拒否した。その代価は1万5000ドルの罰金だった。大坂は大会を棄権することにした。 この衝撃的な決断のおよそ9カ月前、彼女は、ジェイコブ・ブレイクが警官に撃たれた事件に抗議してウエスタン&サザン・オープンを棄権する意向を表明した。その後も、人種差別主義者の暴力や警官の非道な扱いの犠牲となった黒人被害者の名前を記したマスクを、全米オープンの期間中ずっと着用し続けた。 アスリートがこのような立場を取ると、企業スポンサーは一目散に逃げだしかねない。だが、大坂の場合はそうはならないようだ。このスター選手は、12カ月間で6000万ドル(そのうち5500万ドルは広告収入)を稼いでいる。しかも、それは昨年、自分自身が打ち立てたばかりの3700万ドルという女性アスリートの収入の最高額を粉砕したうえでのことだ。 この6000万ドルという金額によって、大坂はフォーブスの「世界で最も稼ぐアスリート50人」の12位に入った。これはゴルフのタイガー・ウッズと同位で、ノバク・ジョコビッチやラファエル・ナダルといった男子テニスのスター選手をはるかに上回る順位であり、昨年の29位からすればとんでもない躍進だ。 このたびの騒動の詳細をみておくと、大坂が全仏オープンを辞退するに至った論争が始まったのは、今年5月末のことだ。大坂がSNSで、自らの自信とメンタルヘルスを守るために、大会中の記者会見に出席しない旨を発表したことがきっかけだった。フランステニス連盟は、大坂の最初の記者会見の欠席に対して罰金を科し、大会から追放することも辞さないと脅しをかけた。これを受け、世界ランキング2位の大坂は、大会を棄権することを選び、うつ病と不安を経験してきたことを明かした。 ほとんどのプロのテニス選手の場合、けがや公の場での抗議行動によって、しばらくテレビに登場できなくなれば、実際に収入が減りかねない。スポンサーが一流選手に大金を支払うのは、彼らが主要大会で上位に勝ち残り、自社ロゴの放映時間がたっぷり取れることを見込んでいるからだ。 しかし、大坂はそんじょそこらのプロテニス選手ではない。若く、2つの文化を併せ持ち──母親は日本人で父親はハイチ系アメリカ人だ──社会正義の問題を積極的に訴えるようになる前から、クールな要素とグローバルな魅力を備えていると見なされていた。大坂はスポーツマーケティングの象徴となったのだ。 その結果、大坂の広告契約には、テニス界では大半の契約に見られるような、プレイ時間が限られる場合は契約料を下げるという条項が盛り込まれていない。それどころか、一部のファンがSNS上で大坂を激しく非難している状況にあっても、大手スポンサーの多くは、すでに彼女の擁護に立ち上がっている。 大坂を上回るのは3人だけ ナイキはすかさず声明を出し、「私たちの思いは、なおみと共にあります。当社は彼女を支持するとともに、メンタルヘルスにかかわる自分の経験を打ち明けたその勇気をたたえます」と述べた。リーバイス、日産、日清食品、タグ・ホイヤーなどのブランドも、大坂を支持する同様の声明を出している。サラダ専門店のスイートグリーンやマスターカード、ビーツ・エレクトロニクスはSNS上で大坂の肩をもった。 昨夏の時点ですでに15の広告パートナーと契約していた大坂だが、この1年でその数は20以上に膨れ上がった。グーグルやルイ・ヴィトンも、最近、そのリストに加わっている。 スポンサー契約のラインナップで大坂と並ぶ人物は、スポーツ界にはほとんどいない。この12カ月で大坂を上回る広告収入を稼いだのは、プロテニスのロジャー・フェデラー、プロバスケットボールのレブロン・ジェームズ、そしてタイガー・ウッズだけだ。 この事実が示しているのは、いかに大坂がSNS上で批判されていても、彼女の躍進はまだその“とば口”に立ったにすぎないということだ。「大坂というブランドへの打撃はまったくないでしょうね」と、ベテランのマーケティングコンサルタントで、コロンビア大学の講師でもあるジョー・ファボリートは話す。 大坂は最も売れるスターであり続ける メンタルヘルスの問題は、近年、スポーツ界でより広く関心を集めるようになっており、NBAのケビン・ラブや競泳のマイケル・フェルプスなど、多くのスター選手が個人的体験を打ち明けている。 スポーツマーケティングのコンサルティング会社を営むビル・サットンはこう考えている。大坂はパンデミックによるロックダウンを受けて新たに注目度が高まっているメンタルの問題について包み隠さずに語った。そのことによって、メンタルヘルス分野のスポンサー候補の興味を引く可能性がある。 大坂が社会問題について自分の意見を述べていることについても、同じことが言える。…

すぐに帰宅する人ほどビジネスに強いワケ

ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、夜の付き合いをほとんどしない。仕事が終わると真っすぐに帰宅し、本を読みながらビジネス戦略を練るという。ハフポスト日本版編集長の竹下隆一郎氏は「柳井氏のような内向的な人が結果を出せる時代に変わった」と指摘する――。 「内向的」な人が世界を大きく変える 「内向的」という言葉を辞書で引くと、「心の働きが自分の内部にばかり向かうさま」と書かれています。類語辞典を引くと、「内気」や「消極」の文字が並びます。 どこかネガティブで暗いイメージが付きまとっている言葉であるのは確かです。 しかし今の時代、「暗い」とされてきた目立たない存在が、社会のルールを大きく変えるゲームチェンジャーである可能性が高まっていると僕は確信しています。 なぜ私が内向的な人ほどビジネスに強いと思うようになったのか。それは、ユニクロを展開するファーストリテイリングの会長兼社長の柳井正さんを取材したことがきっかけです。 尖閣諸島をめぐる対立で、日中関係が悪化していた2012年のこと。 ユニクロをはじめ中国に進出した日本企業にも厳しい目が向けられ、激しいデモが起きていました。ビジネスパーソンとして、そうした反日感情にどう向き合うのかを聞きに行ったのです。 内面ととことん向き合い、ビジネスの展望を描く 柳井さんは、新しく出店したサンフランシスコの店舗の記念式典で挨拶に立った中国系の市長の話をしました。政治関係が冷え込んでも、経済交流を通して日中関係を維持する大切さの事例だったからです。 柳井さんは熟考しながらゆっくりと話す姿が印象的でした。執務室の机には英語の雑誌やニュースレターが積まれていました。 後ほど関係者に聞くと、柳井さんは、夜の付き合いをあまりせず、仕事を終えると真っ先に自宅に帰ることが多いといいます。そこで本を読み、将来のビジネス展開について徹底的に考え抜いている。 だからこそ、日中関係のようなデリケートなテーマについても深く答えることが可能だったのだと思います。 インタビューの様子から、自分の「内面」と向き合っている経営者だと感じました。 柳井さんは日本を代表する経営者です。そして、私は柳井さんのように、自分の心の中と向き合っている人ほど激動の時代には強いと思います。 自分の仕事や会社にとって何が最善で、自分はどうしたいのか。それを常に考えているからです。 インターネット社会では、嫌でも大量の情報が入ってきます。新聞やテレビを見ない人でも、何げなく見たスマートフォンを通して最新のニュースは入るはずです。 日本だけでなく世界中の情報が自然と手に入る現代では、意識して自分と向き合うことが重要なのではないか。そんなことに気付かされました。 情報を入手することの価値が薄まっている 内向的な人の方が結果を出せるのではないか――。そのことについて考えるためには、「情報のフラット化」という社会の変化について知るところから始めないといけません。…

「ヴェイン」は“第二の家”で素をさらけ出す 「かっこつけない」等身大のショー

榎本光希デザイナーによるメンズブランド「ヴェイン(VEIN)」は2月5日、全25ルックからなる2024-25年秋冬コレクションを発表した。榎本デザイナーは21年にメンズブランド「アタッチメント(ATTACHMENT)」を創業者の熊谷和幸デザイナーから引き継ぎ、2ブランド合同のショーを続けた後、2024年春夏コレクションからは「ヴェイン」単独での発表に切り替え、今シーズンは2度目の単独ショーとなった。 ラテン語で「あいさつ」がテーマ会場にアトリエを選んだ理由 榎本デザイナーが今回会場に選んだのは、原宿に構えるアトリエだった。スタッフが日々服作りに励むスペースから、壁一枚を挟んで隣接したショールームを解放し、ゲストを招き入れる。代々木第二体育館や国立競技場で開催した過去のショーから一転して、今回は観客同士が身を寄せ合ったとしても70席ほどにしかならないキャパシティーだ。 その理由は、ショーのテーマ“ave(アヴェ)”にある。ラテン語で「歓迎」「敬意」を表し、気軽なあいさつにも使われる言葉に、榎本デザイナーは「服を介してコミュニケーションを取る楽しさ」を重ねたという。「あいさつは対人関係における1番最初のコミュニケーションであり、ショーはブランドにとって1番最初のあいさつ。第二の家でもあるアトリエでショーを開くことで、自分の素をさらけ出し、『ヴェイン』の親密感をゲストにも感じてほしかった」。 ショーは、黒いジャケットに同色のコート、ストレートデニムを合わせたルックでスタート。榎本デザイナーは「『ヴェイン』らしくなくて一番好き。クリーンでリラクシングな雰囲気のものを選んだ」という。今回のコレクションでは、カジュアルやストリートなどの定石から外れて自由になることを意識したという。ビンテージ加工を施した革靴や、裾のリブをダメージ加工したMA-1、ダメージ加工したフーディーが繰り返し登場したほか、大きくドロップした肩のラインが特徴のジップアップのニット、パワーショルダーのジャケットなどによって、エレガントなムードも加える。 ブランドコンセプトである「構造表現主義(structural expressionism)」も忘れない。洋服の構造をデザインするアイテムには、ストラップが左右の身頃間を横断するジャケットや、膝部分をカットオフして切り替えたジーンズやスエットパンツ、ドローコードで裾を絞り、形を変えるミリタリーパンツが並ぶ。トレンチコートのウエスト下部分のペンシルスカートや、ラップスカートタイプのバッグで新しい洋服の可能性を提案した。 等身大のクリエイション「ドーンピンクは始まりの色」 榎本デザイナーは「『アタッチメント』を手掛け出してしばらくは、キャパオーバーになっていたが、最近は心の余裕が出てきた」といい、家族や友人と過ごす時間からインスピレーションを得たディテールも落とし込んでいる。例えば知人と開催したサッカーイベントの思い出を、1990年代のサッカーユニホームをサンプリングしたレースアップシャツで表現したほか、子どもを保育園に迎えに行く際に、多摩川から見える夕焼けを模したピンクカラーで再現。「これは“朝焼け”色でもある。“始まり”の意味を込め、『ドーンピンク』と名付けた」。 榎本デザイナーの「自由なスタイリングで」というオーダーには、スタイリストの髙田勇人が応えた。ニットトップスをモデルの体に巻きつけたり、くるぶし近くまでマフラーを垂らしたり。レザー地のストールを固結びして作った大きなコブに至っては、「僕らのノリ」と笑う。モデルの個性をスタイリングに盛り込み、同じアイテムでも複数の見え方が生まれるように演出した。 榎本デザイナーがフィナーレに登場し、小走りで会場を後にして間もなく、照明と音楽が突然落とされる。「初めて会う人とあいさつをした後、『……で、これからどうする?』と次の会話を切り出す緊張感を表現したかった」。19年のブランドスタートから5年目を迎え、新たに始めた“会話”には、デザイナーの「かっこつけない」等身大なクリエイションが詰まっている。

三木谷浩史が読む、コロナ後の世界!古い企業や体質を、投資家が変えていこう

新型コロナウイルスの感染拡大で、世界ではこれまでに感染者が1,400万人を超え、60万人以上が死亡している(2020年7月22日時点)。世界経済は甚大な被害を受けており、感染拡大の第二波で悪影響が長期化する恐れもある。  未曾有のコロナ禍で企業はどう変わったか。今後も続く厳しい状況にどう対処すべきか。そしてアフターコロナの日本経済、世界経済はどう変わっていくのか。そしてその変化に日本企業はついていけるのか。日本を代表するIT企業、楽天の創業者で、同社の代表取締役会長兼社長を務める三木谷浩史に聞いた。 ※この取材は、2020年7月6日(月)Zoomでの遠隔取材で行われました。記事内の情報や数値はこの時点のものとなります。 楽天が受けたコロナの影響は? ——新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に経済活動が停滞し、消費が落ち込み失業率が上昇しています。事態の終息には時間がかかるため、これまで蓄えを取り崩しながらしのいできた企業の中で、資金繰りに行き詰まるところも出てきそうです。コロナで楽天のビジネス環境はどう変わりましたか。 三木谷会長兼社長(以下、三木谷) 第一に、楽天は多角化しておいて正解だった、と思います。例えばトラベルだけ、人材サービスだけの会社だったら、経営手法を真剣に模索しなければいけなかったかもしれません。  外出の自粛要請で旅行や出張は激減し、どうしても三密(密閉、密集、密接)になるコンサートやスポーツ観戦もできなくなっていたので、楽天トラベルやチケット販売の部門は打撃を受けています。  しかし一方で、外出自粛の影響で、インターネットでの買い物の割合を増やしたお客さまも増え、EC(楽天市場を中心とする電子商取引)部門や金融部門は好調です。楽天エコシステム(*1)の強さが証明される形になりました。  第二に、人々の生活様式が変わりコネクティビティーがますます重要になりました。楽天モバイル(楽天グループが自前の回線で行う携帯電話サービス)は「緊急事態宣言」が発令される直前の4月8日に本格スタートしました。世界初の完全仮想化クラウドネイティブネットワークによるモバイル・サービスを日本発で実現したわけですが、サービス開始直後に緊急事態宣言という、いわば逆風の中の船出でした。お客さまに実店舗に来てもらって加入してもらう従来型の販売方法だったら、コロナの影響をまともに受けていたかもしれません。  しかし楽天モバイルは最初から、オンラインの加入手続きを前提にしていました。実際、サービスを始めてからこれまでに加入したお客さまの95%がオンラインで申し込んでおり、ほぼ計画通りの加入者が獲得できています。逆風を上手く追い風に変えられたと思っています。  第三に、楽天社内のオペレーションという意味では、新型コロナウイルス対策本部を設置し、しっかりした感染拡大防止のオペレーションができていると思います。基本出社せず自宅で業務に当たる「ワーク・フロム・ホーム(在宅勤務)」に切り替えても、業務効率は落ちませんでした。 *1)楽天エコシステム楽天市場、楽天ラクマなどの「EC」、楽天カード、楽天証券などの「フィンテック」、楽天トラベル、楽天GORAなどの「ライフ・レジャー」、Rakuten Viber、楽天モバイルなどの「コミュニケーション」などさまざまな事業と、各事業で共通に利用できる楽天ポイントで構成する楽天特有のビジネス生態系。 ——楽天も在宅勤務が原則になっているようですが、楽天は創業以来、全社員が参加する週に一度の「朝会」(*2)や「自席周りの清掃」が伝統です。こうした社風も変わっていくのでしょうか。 三木谷 実は在宅勤務になってから、執行役員がリモートで集合して、朝8時からラジオ体操と、10分間の座禅を始めました。変な会社でしょ(笑)。新入社員の研修も全部、在宅になりましたが、1対NでNの数が大きい場合はオンラインの方が有効なこともある。新人研修では『成功の法則92ヶ条』(*3)を私が朗読していました。楽天市場の出店店舗さまに対しても同じことをしています。楽天に関していえば、コロナ禍で、社員や出店店舗さまとの結束が、より強くなったと言えます。 そうは言っても、「もう全部リモートでいい」とは思いません。短期的に見れば、リモートの方が効率的かもしれませんが、中長期ではリモートに偏向するのもデメリットがありそうです。全員が在宅では働き方がフリーランスに近くなってしまいます。やはり人間は面着しないといけない生き物だと思っているので、楽天の場合は、リアルとリモートのハイブリッドで最大稼働力、効率性を発揮できるスタイルを目指していきます。 *2)朝会創業時からの伝統で、週に一回行われる全社員参加型の情報共有ミーティング。国内の拠点を繋ぎ、事業戦略、直近の取り組み、最新技術や成功事例などが発表され、三木谷氏も短いスピーチをし、社員からの質疑にも応じている。専用の会場が本社には設けられているが、現在は完全リモート開催。  *3)『成功の法則92ヶ条』2009年に刊行された三木谷氏の著書。「成功するかしないかは、運や偶然で決まるわけではない。成功には法則がある」という経営哲学を自らつづっている。 ——三木谷さん自身の働き方はどう変わりましたか。 三木谷 仕事量が3倍になりましたね。ミーティングは原則、オンラインですから移動時間がなくなり、スケジュールの寛容度が上がりました。「次はアメリカ」「次はヨーロッパ」とリモート会議を続けていると、24時間繋がってしまう。3倍の濃度で働くのはちょっとキツくて、バーン・アウト(燃え尽き)症候群になりそうです(笑)。ただ、距離も時差も、いろんな意味で垣根がなくなったので、海外のエグゼクティブとも、Viber(*4)で気軽に情報交換をすることも増え、コミュニケーション量が増えたのは間違いありませんね。…

Shopping cart

0
image/svg+xml

No products in the cart.

Continue Shopping